この時期になると、2012年の経済展望が書かれたレポートが各業界から出てくる。証券会社、経済研究所、政府機関など差はあれど、いくつか読んでみると、どうやら一貫しているのは「欧州と米国の回復力の低さ」のようだ。
ギリシャの国家的な粉飾決算が発覚したのが2009年、それからおよそ2年が経ったが、そおれから、アイルランンど、ポルトガルがEU,IMFの救済を受け、2011年夏にはスペイン、イタリアの国債利回りの上昇が発生した。
多くの識者が以前から指摘していたように、このようなシステム矛盾を引き起こすのはユーロ圏の「中途半端」な統合にある。通貨と金融政策はひとつなのに、財政政策は各国ばらばら、それが矛盾を引き起こしているということだ。ユーロ誕生以前からの指摘である。これが表層化したのが今回のギリシャ問題であった。
前述の通り、ギリシャ、ポルトガルなどにおいて、現状のようなデフレ政策が功を奏しとりあえずの回避をみたところで、そのあとに続くのはやはり同じような状況、つまり、なんの産業もなく、公務員は少なくなっても別にそれ以上のこと打開策はないとか、そういうことである。ギリシャの生産性浄書率、生産力がドイツのそれに追いつくことはほとんど不可能だということだ。
単一通貨ユーロがもたらす構造的矛盾の解決が難しいという前提で、何人かの識者は「生産性格差・競争力格差の解消という無駄な努力を放棄すること」が重要だとはっきり語る。レポートからの指摘として「ドイツがギリシャに金を貸すのではなく、金を与える仕組みを作ること。つまり、単一通貨のようにEUないしはユーロ圏が所得再分配機能を所有するようにすること」を提案するものもある。
10月15、16日にG20財務相・中央銀行総裁会議で、金融システムの安定を維持するための基本的な政策が策定されたが、これはギリシャをはじめとする債務国の資金繰り対策として有効であるが、欧州経済の根本的な解決にはなりえないという視点。これは当然であろう。当面の金融パニックを防ぐ策としては功を奏すかもしれないが、いや、ギリシャのデモの強烈さをみると、それすらどうかとも思うのだが、ともあれ、根本的な問題が完治する見込みは立っていない。
当初は「ギリシャ問題」として一国の切り離された問題と認識されていた。そして、ドイツが助けるとかなんとか、上から目線の対策を執り行王としていたが、今や完全に、ギリシャの財政問題は欧州の金融機関のバランスシートに大きな陰を落としている。今現在、かなりの数の銀行への公的資本注入が避けられない状態にある。金融が国際的につながっているという証左である。
またギリシャの現状は、80年代の中南米累積債務の問題とは「独自の通貨を持っていない」という意味で全く異なる。当時の中南米の累積債務問題は、ストレートに債務国において通貨暴落と題インフレをもたらしたが、今はユーロという共通通貨でつながっているということだ。
当初、欧州連合を作ったいきさつは、「覇権国としての米国」に対するパワーバランスがあったが、現在では、アジアを中心とする新興国が勃興している。そんな中での欧州のプレゼンス維持は、けっこう大きな課題だと言える。